
「都会で転職するのとはどんな違いがあるんだろう。」
東京や大阪などの大都市に比べると、地方は求人数も少なく転職には不利と思われがち。
でも業種や職種のターゲットを絞りピンポイントで攻めれば、地方での転職も決して難しくはありません。
そのためには地方でのIT業界の特徴を知っておきましょう。
ぼくは地方でSIerへ10年以上勤務し35歳を過ぎて社内SEへ転職しました。
地方のIT企業へ勤め転職活動も経験したことで、地方のIT業界や企業の特徴が見えてきました。
本記事ではぼくが経験から感じた地方IT企業や業界の特徴を解説します。
もちろん100%全地方に当てはまる訳ではありませんが、地方でのエンジニア転職活動に向けてターゲットを整理でき目標を絞れます。
それではご覧ください。
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ピラミッド構造の下請け企業も多い
以前こちらの記事で解説したように日本のIT業界は下請け型のピラミッド構造。
地方ではこのピラミッド構造の下請け企業の割合が多いと感じます。
それは地方では都市部に比べて開発数が少なく開発規模も小さいから。
例えば大手IT企業が都市部で請けた大型案件の一部が地方の子会社へ切り出されます。
その地方子会社から地域のソフトウェア企業へ順次案件の一部が流れていくというイメージです。
ぼくも過去に地方へ流れてきた大型案件の一部の開発案件に携わったことがありました。
大手IT企業の地方子会社へ技術者派遣として常駐し、同じように集められた他社の技術者と同じ部屋で開発を行います。
ただし決して下請けで行う開発が悪いという意味ではありません。
せっかく中途採用で転職するのであれば、求人企業の仕事の流れをイメージし働き方にミスマッチが起きないようにしましょう。
特定の会社、業界とつながっていることも
地方の小さなソフトウェア企業がどうやって成り立っているんだろう、と疑問に思ったことはありませんか?
実は地方のソフトウェア企業は特定の業界や企業と強いつながりがあることが少なくありません。
例えば特定の工場で使用するシステム開発。
地元の企業が代々請け負っていたり、工場へ技術者を派遣し開発を続けている例をたくさん見てきました。
業界特有の仕様や企業独自の文化があり、長年パートナーとして開発を行っている地元企業は他社にはないノウハウを持っています。
長年付き合いがある企業であれば仕様も熟知しているため発注側企業も楽ですから。
特定の業界や企業と深いつながりがある地方企業へ転職すると、発注企業のシステム開発にどっぷり腰を据えて取り組むことになると考えましょう。
スタートアップ企業やWeb案件は少なめ
都市部、東京に比べると、地方ではいわゆるスタートアップ企業やWeb開発案件の割合は多くありません。
案件が少ないこと、土壌が育っていないことなど、理由はいろいろ考えられます。
実際に地方の転職活動で求人情報をたくさん見て来た中では、やはりベンチャー系企業は少ないと感じました。
もしあなたが地方でエンジニアとしてベンチャー企業への転職を考えているのであれば、やみくもに求人を探しても効率的ではありません。
例えばWeb系、クリエイター系の求人に強い転職エージェント「レバレジーズテック」を利用する、など有効な方法を考えましょう。
大規模案件に携われない、は正解ではない
地方では大規模開発案件は少ないというイメージを持たれているかもしれません。
確かに大型案件は多くありませんが、全く開発に携われないわけではないんです。
先に書いたような大手IT企業が都市部で請けた大型案件の一部が地方に流れて来るパターンが一つ。
また地方には大きな工場がある場合も多く、大きな工場でシステム刷新などが発生すれば一気に大規模案件になります。
普段からその工場の仕事を請けている立場であればシステム刷新開発のお声は掛かります。
求人情報だけで大型案件に携われるのか判断するのは正直むずかしいでしょう。
でも地方でも大型案件の数は少ないが関わる機会はあると考えてください。
社内SEの割合は意外と高め
地方では社内SEの求人が意外に多いんです。
メーカーや工場が多く現場エンジニアの需要があるからでは、とぼくは感じました。
実際に転職活動中にも転職エージェントへ「社内SE希望」と伝えてからは、社内SEの求人情報が毎日のように届くようになりました。
なおこちらの記事で解説しているように、転職エージェントを使う場合はエージェント担当者へ希望職種をはっきりと伝えてください。
工場やメーカーの社内SEは、スーツに作業着と一見してエンジニアと分からない服装で仕事をする企業も少なくありません。
一般的なサラリーマンのスーツや都会のエンジニアのように私服でおしゃれに、というイメージとはかなり違います。
特に地方の工場へ勤務するエンジニアは、作業環境は工場作業員と変わりません。
一般的なエンジニアの華やかなイメージだけで社内SEを希望しミスマッチとならないよう注意しましょう。
独自の環境やスキルを求められることも
地方企業では企業ごとのオリジナル環境に応じたスキルが必要になることが少なくありません。
なぜなら何十年も独自のやり方で環境が出来上がっていてガラパゴス化しているため。
例えばコンパイル環境、本番運用環境、開発環境、など独自のツールやルールがあり、他企業で開発を経験していたとしても全く新しいスキルに近い感覚です。
都市部のスタートアップ企業やWeb系企業のように、オープンソースやGitなどを駆使したトレンドな環境ではないんです。
何十年もその企業だけでしか通用しない方法で運用していることも多く、他企業でつぶしは効かないですよね。
もちろん都市部の企業でも同じように独自環境で成り立っている企業もあるでしょう。
ただぼくが経験した範囲では、地方の方がガラパゴス化の傾向が強いように感じました。
地方IT業界では顔見知りに会うことも
地方ではIT業界って意外と狭い業界なんですよね。
それは市場規模が小さく同業他社でも同じ案件に絡む確率が高いためでしょう。
そのためお客さんや転職元会社の同僚、上司など元仕事仲間に会うことも多いんです。
実際にぼくも現在の社内SEに転職後の仕事で、転職前の会社でお世話になったお客さんと仕事をする機会がありました。
また転職前の仕事では、別会社へ転職した先輩がお客さん担当者として一緒に仕事をしたこともありました。
地方の狭いコミュニティではどこで誰と会うか分からりません。IT業界に絞ればなおさらです。
どうせ辞める会社だからと、後味の悪い退職をしないようにしましょう。
まとめ:地方では独自の業界構造が
都市部と違い、地方では地域のつながりが強い傾向があります。
IT業界も同じで企業や業界で独自のつながりを持ち仕事が回っています。
IT企業ならどこでも変わらないだろう、と何となく転職先を決めるとミスマッチになりかねません。
あなたが転職したいのはどんな業種なのか、求人の企業はどんな仕事内容なのかをしっかり考えましょう。
転職の条件を明確にして求人企業をしっかりイメージできれば、あとは行動を起こすだけ。
本記事が転職活動の手助けになれば幸いです。
それでは。
地方で社内SEに転職できたぼくが利用した転職エージェントを紹介しています。なぜこの3つを選んだのか、地方と社内SEに絞ってエージェントを絞った戦略と理由まで書いていますので、役立ててください。
※すべて無料で利用できます。